朝ドラの名作入り!『カムカムエヴリバディ』好評の理由とは?

2021年後期に放送されたNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』。ラジオ英語講座との出会いから、3人のヒロインがそれぞれの人生を、不器用ながらも懸命に生きる姿を描いた作品として、朝ドラの歴史に残る快挙を成し遂げました。さて、そんな『カムカムエヴリバディ』は、これまでの朝ドラの常識を覆す構成がたくさん盛り込まれた、新しい時代の朝ドラとなりました。その魅力について、徹底解説していきたいと思います。

まずはおさらい!『カムカムエヴリバディ』あらすじ

豊かな登場人物にも注目

  • 橘安子(上白石萌音):1代目ヒロイン
  • 雉真るい(深津絵里):2代目ヒロイン
  • 大月ひなた(川栄李奈):3代目ヒロイン
  • 雉眞稔(松村北斗):安子の夫で、るいの父
  • 大月錠一郎(オダギリジョー): るいの夫で、ひなたの父

日本でラジオ放送が始まった時代の物語

時は大正14年。日本でラジオ放送が始まった日、岡山県で安子という女の子が生まれました。まもなく戦争が始まり、数々の試練が安子を襲いますが、ラジオ英語講座に出会ったことで、安子の人生が切り開かれていくのです。カムカムエヴリバディネタバレを含みますが、各パートを簡潔にご紹介していきましょう。

1代目ヒロイン:安子

ラジオ放送が始まったその日に、岡山の和菓子屋「たちばな」で生まれます。英語が堪能な青年・稔に出会ったことでラジオ英語講座を聞き始め、のちに稔と結婚することになります。娘・るいを出産しますが、空襲で家族を亡くし、また夫の稔も戦死。その後日本で出会ったアメリカ人男性と駆け落ちするように、るいを置いて渡米してしまいます。数々の衝突を経験しながらも、前向きにたくましく生きていくヒロインです。

2代目ヒロイン・るい

安子の娘・るいは、岡山県で育つも、自分らしく生きるために大阪へ。ひょんなことからクリーニング屋の看板娘となり、新しい生活に慣れていこうとします。クリーニング屋の顧客をはじめ、様々な人と出会いながら、少しずつ自身の運命を変えていきます。

3代目ヒロイン・ひなた

安子の孫でるいの娘・ひなたは、父親の影響で時代劇が好きな女の子。侍に憧れており、正義感が強く元気いっぱいなのですが、何事にも飽きやすく三日坊主なのが悩み。大切な友や憧れの人物に出会っていきながら、自分の生きる居場所を見つけていきます。

『カムカムエヴリバディ』が大成功を収めた理由とは

異例の「100年3ヒロイン構成」

これまでの朝ドラとうって変わったのは、1つの家族に起きた物語を、100年という歳月をかけて3人のヒロインが演じるという構成でしょう。しかも、『カムカムエヴリバディ』は従来の朝ドラよりも回数が少なかったというのです。その中で、100年という歴史を詰め込んだ異例のスピード感が、心地よいテンポを生み、視聴者も飽きることなく最後まで見たいと感じる理由だったようですね。1代目ヒロイン・安子の幼少期編は、なんとわずか2回で終わったそうですよ。ヒロインが出てくるまでの幼少期編は、通常2週分ほどあり、視聴者が待ちきれずに離脱してしまうケースが多くあるそう。そういう意味でも、『カムカムエヴリバディ』のテンポの良さが吉と出ましたね。

テンポの良さとじっくり描かれる場面のバランス

スタートから2週で、すでにヒロインの安子が結婚するという場面にまで進んだ『カムカムエヴリバディ』ですが、そのすべてを足早に描いていたわけではありませんでした。本作のテーマである「ラジオ英語講座」。安子が英語と出会い、どのようにして勉強を重ねていくかという重要な部分は、じっくり時間をかけて描かれていたのです。また、安子が生まれた和菓子屋「たちばな」で作られるあんこや和菓子の数々も、丁寧に撮影され、視聴者の心に届きました。

前作『おかえりモネ』とのギャップも話題に

『カムカムエヴリバディ』の前に放送されていた『おかえりモネ』は、ヒロインが平成生まれという現代を描いた作品でした。そしてバトンを渡された『カムカムエヴリバディ』は、大正から昭和にかけての100年を描くというギャップという意味でも、視聴者の興味を大いにそそりました。『おかえりモネ』が大変好評だったことから、次作への期待と不安が入り混じるスタートとなりましたが、結果大成功を収め、日本中を”カムカムムード”に惹き込みましたね!

音楽とストーリーの結びつきにも注目!

安子が、愛する稔とともに好きだった音楽「On the Sunny Side of the Street」。それを歌うルイ・アームストロングの名前から、愛娘に「るい」と名付けたというエピソードも印象的でしたね。また、るいは曲の邦題「ひなたの道」から、娘に「ひなた」と名付けるなど、ずっと3人のヒロインたちを結び付けていた音楽として、視聴者の心に刻み込まれることになります。夫を戦争で亡くした安子の心を励まし続け、物語の中でもジャズや楽器を通して終始流れ続けた音楽でもありました。まさに本作と強い結びつきを感じるテーマソングで、聴くだけで涙が止まらない…という視聴者も多かったんですよ。

まとめ

朝ドラの教科書になるとも言われている名作・『カムカムエヴリバディ』。史上初である、3人のヒロインを描いたスピード感のあるストーリー展開は、視聴者を画面に引き寄せ離さない、圧倒的な魅力を放つ作品となりました。朝ドラの歴史にも残る偉大な存在として、これからも語り継がれていくことでしょう。