パイロットに必要な免許

ヘリコプター等の飛行機のパイロットになるためには専用の免許の取得が必要となります。
飛行機の操縦に必要となる免許には、主に以下の3つがあります。

  • 自家用操縦士
  • 事業用操縦士
  • 定期運送用操縦士

しかし、航空機は以下の4つの種類に分かれています。

  • 固定翼機
  • 回転翼航空機
  • 滑空機
  • 飛行船

それぞれの航空機の種類によって、別々に自家用操縦士等の免許が必要となります。
ここでは主に回転翼航空機、つまりヘリコプターの免許の取得方法を中心に紹介します。

ヘリコプターの飛行訓練を積むためのフライトスクール

紙飛行機を飛ばす少年

ヘリコプター等の飛行機のパイロットになるには、免許を取るための飛行訓練を積まなければなりません。そういったパイロットになるための飛行訓練は、主に空港等に備え付けられている設備や飛行機を利用して行われています。飛行訓練はその空港を拠点にしている航空会社がビジネスの一貫としてフライトスクール等で実施している場合が多いです。

フライトスクールに通うためにはある程度の高額な費用がかかります。しかしながらそういったスクールでは取得したい免許に合わせたコースが設けられていて、学科試験に必要な座学についてもサポートしてくれる所も多いです。

したがって、取得したい免許のコースをひとまず受講しておけば、頑張り次第で最短期間でパイロットになることができるので、金額に見合うだけのメリットはあります。

どのスクールでも、平均して免許取得にかかる費用は600万円から1200万円ぐらいで、免許の種類によって金額は変動します。しかしながらその費用の内訳の大半を占めているのは実機での飛行訓練費であり、空港等の施設を利用している以上必然的に高額となります。

国内で飛行訓練をする以上は、例えスクールに通う以外の免許取得方法があったとしても、施設利用などの面で費用は高額になりやすいので、これはある程度仕方のないことだといえます。

自家用操縦士と事業用操縦士、定期運送用操縦士の違い

定期運送用操縦士は前提条件に機長としての一定の飛行経験が必要ですので、初めてヘリコプター等の飛行機操縦の免許を取得するという人には関係がありません。したがってここでは初めてヘリコプターの免許を取る人のために、自家用操縦士と事業用操縦士の二つの免許について説明します。
自家用操縦士と事業用操縦士ですが、基本的には名前の通りの意味と考えてもらって構いません。

自家用操縦士

自家用操縦士は個人的な運用でヘリコプターの操縦をするための免許で、友人や家族等の親しい人限定でヘリコプターに同乗させることができます。ヘリコプター操縦に必要な免許の中では最も取得難易度が低く、訓練期間も短いです。

この免許では金銭の発生するレジャー施設の遊覧飛行や、報道ヘリ等の仕事において操縦する時には有効な免許としては認められていません。

事業用操縦士

事業用操縦士免許は名前の通り何らかの事業に関わってヘリコプターを操縦する際に不可欠なもので、その仕事の適用範囲は広く、海上保安庁のヘリや材木などを物輸するためのヘリ、防災ヘリ等多岐にわたります。

ただし仕事として操縦を担当する時には、不特定多数の命を預かる機会が多くなるため、自家用操縦士よりも免許取得のための学科試験の難易度や費用も高くなり、飛行訓練にかかる時間も長くなります。

また、この免許を取得するためには教官同伴かまたは単独での飛行経験が400時間程度必要です。しかしながら教官同伴で約400時間の飛行訓練は人件費がかなりかかります。
したがって、大抵の人は自家用操縦士の免許を取ってから、機長として単独でヘリコプターの飛行経験を積んでその後に事業用操縦士の免許を取る人が多いです。

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操縦士免許以外に必要な資格や証明

操縦士免許を取得していても実はそれだけではヘリコプターを操縦をすることはできません。
フライトの際にその飛行機のパイロットとして外部と連絡をとるための、「航空特殊無線技士」か「航空無線通信士」等の無線機の扱いに関する国家資格が必要です。

「航空特殊無線技士」と「航空無線通信士」の資格に関しては、それなりの知識を修めていないと試験に受かるのは難しいでしょう。とはいえフライトスクールの何らかの訓練コース等を受講していれば、この二つの資格に関しては訓練メニューに専用の座学が含まれている場合が多いので問題ありません。

取得難易度的には「航空特殊無線技士」の方が簡単です。反対に「航空無線通信士」は「航空特殊無線技士」の、上位資格にあたるものなのでより難しくなります。とはいえ「航空無線通信士」は運送業務に関わらない場合は必須ではないので、自家用操縦士のみの取得を考えている人等は、「航空特殊無線技士」のみの取得でこと足りるでしょう。

更に、ヘリコプターに搭乗する前には、その飛行機のフライトに耐えうる健康状態かどうかを医療施設で診断した、身体調査に関する証明書類が必要です。健康状態に関しては視力に問題が無ければ、ほとんど大丈夫なのであまり心配はありません。

ヘリコプターの免許は主に8種類に分かれている

ヘリコプターの免許は主に自家用操縦士と事業用操縦士に分かれています。厳密にはこれに加えて、着陸する場所が「陸上」か「海上」か等の要素に加えて、エンジン数が「単発」か「多発」か、エンジンの種類が「レシプロ」か「タービン」かというように細分化すると様々な違いがあります。

したがって合計するとヘリコプターの免許には8種類の別々のものが存在します。滑空機や普通の飛行機等の場合は着陸場所とエンジン数しか違いが無いので大抵は4種類です。
ヘリコプターの免許は普通の飛行機よりも種類が多様なため、8種類の中でどれが自分の操縦したいタイプのヘリコプターなのかしっかり把握しておく必要があります。

例えば海上保安庁等で将来働きたいのに、「陸上」に対応した事業用操縦士の免許しか持っていない場合は、海上保安庁でヘリコプターのパイロットとして操縦することはできません。海上保安庁では「海上」での離着陸の機会が多いため、陸上の離着陸とは違う技術を求められるためです。
これはエンジン数の単発か多発であるかや、エンジンの種類のレシプロかタービンか等にも同じことがいえ、それぞれに特別な知識や技術が必須になるために、別の種類の免許としてしっかりと区分けされているのです。

単発と多発の飛行訓練費の違い

ヘリコプター等の飛行訓練の際には大抵、将来パイロットとして乗りたい飛行機の種類に合わせて、単発型か多発型かどちらかに絞り訓練をします。

ただ、単発型と多発型では飛行訓練時にかかるコストに違いがあります。そのコストは単発型より多発型の方が高く、それゆえ必然的に多発型の訓練費用の方が高額になりやすいです。
なぜ単発型より多発型の方が訓練費用が高くなりやすいかというと、その理由は主に機体の大きさにあります。

エンジンが単発型の飛行機は一つのエンジンで十分に飛行できる程度の大きさの小型機がほとんどです。さらに、小型機の操縦を教えられる教官も多数いて、練習に使える機体の数も多いので訓練費用は比較的安くすみます。

反対にエンジンが多発型である飛行機は、その機体を飛行させるのに複数のエンジンが不可欠ということでもあります。となると、必然的に複数のエンジンによる燃料費やメンテナンスにかかる維持費、多発型を扱える教官の人数等があいまって、訓練費用が単発型の2~3倍程度になることが多いです。

したがって自家用操縦士の免許で小型のヘリコプターを操縦しようと考えている人等は、単発型の方が訓練費が少なくすむので特にこだわりがないのなら、単発型の免許を取得したほうがいいでしょう。

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ヘリコプター操縦士の免許を取得する時の知識まとめ


ヘリコプター等の飛行機の操縦士になるためには、パイロットを養成するためのスクールに通うのがポピュラーな方法です。ある程度の費用がかかりますが、航空特殊無線技士等の資格取得の際に必要な座学についてもサポートしてくれます。
また、免許を取る際には自分の希望に合わせてどの種類の免許をとるべきかしっかりと吟味しましょう。
そして多発型にこだわりがなければ単発型の免許を取る方が費用がやすくすみやすいです。