ヘリコプターのパイロットになるには

ヘリコプターのパイロットになる方法と聞くと、具体的な方法を知らない方がほとんどではないでしょうか。しかしながら自衛隊の輸送ヘリコプターや救急医療用ヘリコプター等、いくつかの仕事ではヘリコプター操縦士が必要とされています。
ヘリコプターは航空機というジャンルの乗り物ですから、当然操縦には専門的な免許が必要となります。ここではヘリコプターの操縦士になるための、免許の取得方法や航空業界全般について紹介します。

ヘリコプターの操縦資格の種類

ヘリコプターの免許を取得するには自動車の免許の取得と同じように、専門的な訓練校に通って十分な技術を修める必要があります。日本では空港やヘリポートにその訓練校があります。『パイロット免許の種類』でも説明していますが、定期運送用操縦士・事業用操縦士・自家用操縦士とそれぞれ区分けされた資格が存在します。
それぞれの資格には操縦できるヘリコプターの種類や条件に制限があります。自家用操縦士、事業用操縦士、定期運送用操縦士の順番で、取得難易度や費用、訓練期間等が増えていきます。

趣味で操縦を覚える程度なら自家用操縦士で十分ですが、ヘリコプターの操縦を仕事にしようとする場合は事業用操縦士か、定期運送用操縦士のどちらかが不可欠です。

自家用操縦士

ヘリコプターで遊ぶ少年自家用操縦士は飛行機やヘリコプターの操縦をする際に必要な、パイロットにとって最も基本的な資格です。ただし飛行機の自家用操縦士の免許を持っているからといって、ヘリコプターも操縦できるといった互換性はありません。

自家用操縦士の免許はそれぞれの乗り物によって別の資格として扱われます。この資格は金銭を対価に操縦を請け負うといった形の事業的な操縦では適用されませんが、友人や家族を乗せてのフライト等は問題なく行えます。

これは自動車で例えるならば普通自動車第一種免許にあたる資格です。趣味としてヘリコプターの操縦を楽しみたいという方は、自家用操縦士の資格取得だけで十分事足ります。

目安ではこの自家用操縦士の資格を取得するには、最低でも40時間以上の訓練が必要となります。また、自家用操縦士の資格を使用して機長としてフライトをする際には、第二種航空身体検査という視力検査等を含んだ、航空に関する身体能力を調べる検査をパスしなければ操縦することが出来ません

他にも航空特殊無線技士という資格も必要で、これは2月、6月、10月に認定試験が行われている無線機を扱うための資格です。

事業用操縦士

事業用操縦士は救急医療用ヘリコプターや観光地での遊覧飛行等の、仕事としてヘリコプターを操縦する際に必要な資格です。自家用操縦士の資格より資格習得に必要な技術は上がっています。

事業用操縦士は訓練にかける時間も多く、最低150時間以上の訓練が必要となります。身体検査に関しても、自家用操縦士が受ける第二種の検査より精密な、第一種航空身体検査をパスしなければいけません。

さらに航空無線通信士という航空特殊無線技士の、上位互換にあたる無線機の資格も必要です。この資格の国家試験は2月、8月に行われており、この資格を所持していると航空特殊無線技士の資格の代わりにもなります。

定期運送用操縦士

定期運送用操縦士は事業用操縦士よりも更に上の、航空機を扱える資格の中では最上位にあたります。この国家試験は2月と8月に実地されており、試験を受ける際には21歳以上で尚且つ、一定以上の飛行経歴があること等が条件として必要です。

この資格を持っていると事業用操縦士と同じ業務範囲の仕事を請け負える他、二人で操縦するタイプのヘリコプターを操縦できるようになります。

また、事業用操縦士と同じく航空無線通信士の資格も、操縦する条件に含まれています。

そして、自家用操縦士や事業用操縦士と違い、計器飛行や計器飛行方式と呼ばれる操縦方法に関する知識が必須です。これらの操縦方法は航空機の計器類を利用して、航空管制官の指示に従いながら操縦する方法で、より高度な専門的知識が求められるものです。

訓練施設の費用と海外留学について

海外留学生ヘリコプターの国内での操縦訓練というのは練習場所や教官の少なさ、危険性等の要素からどうしても訓練費用が高額になりやすいです。しかしながら国内より免許の取得条件が緩和されている、海外の訓練施設を利用することである程度費用を抑えることが出来ます

これらの海外の訓練施設については、日本のヘリコプターの訓練会社が海外への留学を斡旋している場合が多いです。そのため、直接海外の訓練校と契約を取り付けるといったことを自分でする必要はありません。

さらに、海外留学をした場合は日本で訓練するより、資格の取得までの時間が二週間から数か月程度の比較的短期間で済みます。

しかしながらこのやり方が適用できるのは、海外のライセンスの書き換えができる自家用操縦士のみです。操縦士の資格を取得して働こうと考えている人には意味がないように思えますが、事業用操縦士以上の資格を取得する際の前段階の訓練を行うことが出来ます。

したがって日本の訓練校によっては自家用操縦士の免許を海外で取得させてから日本に戻ってこさせて、日本で自家用操縦士等についての本格的な訓練をさせる、といった訓練コースを提供している会社もあります。

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パイロットの年収と需要

実はパイロットという職業は医者と並ぶくらい高収入な職業として知られています。高収入の大きな理由としては海外から日本へやってくる観光客の増加や、小型機や中型機の発達によるパイロットの需要の高まり等による人材不足が挙げられます。

それに加えて一人のパイロットの運転技術習熟までの道のりが比較的長く、その訓練に伴う費用も高額なため国内では、慢性的なパイロット不足に陥っていることもその要因の一つでしょう。貴重な運転技術に対する対価として、給与が高くなっているというわけです。

また、パイロットの需要は国内だけにとどまらず、世界的な需要も高いです。海外の航空会社の中には、優秀な日本人のパイロットをヘッドハンティングしようとする所もあるほどで、国内のパイロット不足に更に拍車をかけています。
そういった航空業界事情も相まって、パイロットは六年連続平均年収ランキング一位に輝いたこともあるほどの、高収入が期待できる仕事です。

パイロットに適性のある人


パイロットには人の命を預かる機会が多い分様々なものが要求されます。身体的なことでいうと視力はもちろんですが、中でも重要なのが体調管理です。体が不調なまま操縦をすると危ないというのはもちろんですが、そもそも健康状態が悪いと航空身体検査に引っ掛かって操縦出来なくなる可能性があります。

また、パイロットは長時間の運転を要求されることも多く、座って操縦をしているだけながら以外に体力を要求される仕事でもあるのです。したがって、健康であることはパイロットにとって大事な資質であるといえます。

身体面以外に精神的な健やかさも重要な要素です。もし精神的な失調により幻覚等を見ることがあっては、重大な事故に繋がりかねません。そのためパイロットは年二回程度の定期的なメンタルチェックが義務化されています。
これは航空身体検査と共に実施されることが多く、メンタルチェックで引っかかってしまうと操縦することが出来なくなります。都市伝説の「航空機関係のパイロットがUFOを見たと言うと仕事が出来なくなるので、UFOを見ても言えない。」といった話は、こういう決まりから生まれたものでしょう。

ヘリコプターパイロットについてのまとめ

ヘリコプターの操縦には自家用操縦士・定期運送用操縦士・事業用操縦士のどれかの資格と、それぞれに適用した無線に関する資格と航空身体検査での証明が必要です。
海外の訓練施設を利用して免許を取得するのが、比較的費用も訓練時間も少なくて済みます。
航空機関係のパイロットは高収入で需要のある仕事ですが、反面責任が重く体調管理や精神衛生に気を付けなければならない仕事でもあります。